富士登山ツーリング  - ツーリングというか登山だった。 -


今回のツーリングは、全てに置いて別格でした。
私の人生最大のチャレンジでした。
やり遂げてから気づきました。

というか、もはやこれはツーリングレポートではないのですが、
2004年を代表する出来事なので記事にします。

今回のレポはダラダラと長く、写真は前半少ないです。


◆2004年7月30日◆

行こうと思ってたホットバイクJapanのラブピーが台風で行けませんでした。
せっかく標高2000メートルから雲海を見ようと思っていたのに。

そこで、相互リンクしている、とある猛者を思い出した。
ヨドバシカメラでウィンドショッピングをした帰りに、
富士山へ寄ってそのまま登頂してしまった神奈川のカリスマ。
スポーツスター乗りのりょうサンである。
以前、彼の富士登山ツーリングレポートに衝撃をうけ、
山頂からの写真に感動を覚えたのだ。


よし、横手山行けなかった代わりに、富士山いこう。
どうせ目指すなら日本最高頂だ。


そんな事をサイトでもらしていた8月の下旬、そのりょうサンから一緒に登りましょうと嬉しいお誘いが。
かくしてそんな安易な発想と、サイト更新のネタ作りの為に、
はじめての登山は富士山ツーリングが1週間程で企画された。



◆9月3日◆

11時起床。
旅の準備が出発当日になっても終わっていなかったので、必要品をチョイノリに跨り調達へ行く。
モノは大体100円ショップで揃えた。
13時半、スポーツスターに荷物を括り付け、富士市を目指し名古屋を出発。
20時が登山開始なので、それまでに着ければ良い。
東名を200キロちょっと走り、富士ICで降りる。
今回の登山は山梨側から登るので、高速を降りたところからグルリと富士山を回りこむ形となる。
ここね。

地図を見ると、通り道に有名な白糸の滝があったので寄ってみる。
   

はい、そんな感じでした。
寄り道にしては贅沢な景色でした。

国道139号を走る。

富士川SAから富士山を見た時は全く曇ってて見えませんでしたが、
いつの間にか山が見えてました。
でかいな流石に。

そして朝霧高原を横切り
聖地を横切り、
青木ヶ原樹海を横切り、

↑聖地

富士スバルラインの入り口近くのコンビニで食料調達。
おにぎり2個、カロリーメイト2個、ウイダーインゼリー2個。
時刻は18時過ぎ。
朝食から何も食べていなかったので、何か食べようかと思ったが、めんどくさかったのでやめる。
相変わらず食に対する意欲が無さ過ぎる自分。



富士の5合目まで続く有料道路入り口で、道路が21時で閉まってしまうと教えられ、
ここを通ったら後に引けない事を知る。
天気は曇っており、登頂しても大した景色が見られるのか疑問に思っており、
正直このまま帰ってしまおうかとも思ったが、
これだけ周りに富士山に登ると言いふらした以上、後に引けないので料金所突破。

ゆるやかな坂を割と長い距離を走っていると、暗い空にいつの間にか雲が眼下に広がっていた。
とても高度を稼げる道とは思えなかったが、いつのまにか標高2300メートル。
既に横手山と並ぶ標高です。
因みにかなり濃い霧の中を走る事になり、けっこう怖かった。

人気のない駐車場に着き、既に到着している筈のりょうサンに、
"ついたよ〜"
という意味でドラッグパイプの空ぶかしをしながら駐車場をグルグル走る。

すると登山ルックの三人組みが。
今回、共に富士登頂を目論む中間達。
りょうサン、ケイゴさん、サトゥーさんである。
簡単に自己紹介をし、自分も積んできた荷物から登山用の荷物を纏め、準備を済ませる。

改めて空を見ると、5合目は雲がかかっておらず、満天の星空。すげぇ。

19時30分。登山開始です。


最強のパーティメンバー。

登り始めてすぐにサトゥーさんが2回ほど転倒し、富士登山の恐ろしさを予感する。
暫くは雲も少なく、月明かりでうっすらと見える雲海と、街の明かりに少しカンドー。
神奈川方面では雷が光っており、キレーでした。

6合目から、ずっと上を見ると、山小屋の光が転々と連なっている。
けっこう遠いなー・・

余りにも弱い光量のライト3本で足元を照らしながらダラダラ登る。
登りながらバイクの話が出来る程度のスローペースです。

が、おかしい。
もう2時間以上歩いているのに、
たった1人の下山客にしか遭遇していないのだ。
スローペースとはいえ、集団のツアー客よりは断然ハイペースである。
りょうサン曰く、自分達より2時間前に出発したツアー客をとっくに抜かしていても良いハズとのこと。

すると、突然我々の横手に光が現れる。
6合目から見上げた、山小屋の光が、我々の真横にありました。

結論から申し上げますと、下山道を逆走していたみたいです。
我々を見守る神はネタ作りに意欲的らしい。

幸いそこは登山道と下山道の合流場所であり、ここで登山道へ戻り山小屋へ。
山小屋の看板には
「八合目」

7合目をすっ飛ばしてしまいました。
後で気づいたのですが、6合目で登山道と下山道が分岐しており、そこで間違えたようです。
因みにツアー客はまだ到着してませんでした。
休憩していると、続々と登山客が到着する。
今まで全く光が無く、人気も無い道を延々と歩いていた事もあり、やたらホッとできた。

他の登山客の姿を見ると、自分達の装備が富士山をなめている事を思い知る。
自分は冬にバイクで走る恰好と変わりなし。
ロンTに、フリースとウインドブレイカー。
スボンは春モノの薄生地。靴は陸上部で使っていたスニーカー。
荷物は斜めがけのリュック。
普段着とさえ呼べます。
ケイゴさんにいたっては2リットルの水を剥き出しで手に持っているだけだった。

山小屋を出て、暫くすると雨が舞いだす。
霧で視界が悪くなったが、
もともと手持ちのライトでは足元しか見えないので、大して変わらないか、と、ポジティブに考える。



突然ですが、富士の山小屋からは、あらゆる面で悪意を感じます。

コヒー 400円
カップ麺 500円
カレー 1200円
宿泊 5000円

見上げたものです。
しかも山小屋の外には一切屋根が無く、雨を凌ぐには小屋に入るしかないのです。

そして時刻は深夜1時。
8合目の後半、流石に雨がずっと続くようでは困ると感じ始めた頃、
山小屋、"富士ホテル"が現れる。
おっちゃん曰く、あと1時間半程で山頂との事。
でも、夜明けよりずっと早く着いてしまうので、雨の中ずっと山頂で待たなければならないとの事。
当然、雨を避ける屋根は一切無し。

だったら、この山小屋で仮眠を取って、日の出が見れるか様子をみたらどうだ、とのアドバイス。
仮眠は8時までで3000円。

(;´Д`)エェ-

暫し悩んでいると、他の登山客は3000円を握り締め、どんどんと山小屋の中へと飲まれていく。
その時は、体力的にはまだ余裕があったが、足の筋がけっこう痛くなっていた。
寒さもかなり強くなってきており、夜明けまで時間もあり、泊まった方が賢明だとは分かっていた。

だ が 3 0 0 0 円 か 。

おっちゃん 「 まあ、とりあえず中に入って考えろや。 」








誘惑に負けた4人の戦士達。

ポリシー的にはオカネを使いたくなかったのですが・・・・
たが、他の山小屋では、仮眠としてでなく、宿泊として扱われ、5000円ふんだくられるとの事。
しかも、中に入って考えろ、という言葉自体、富士の山小屋としては良心的な言葉らしいです。

首脳会談の結果、日の出はこの8合目から見て、8時まで休み、
それから山頂を目指すとして決定しました。
8合目からも頂上からも、見える景色は大差ないし、
それ以前に今の天気を見る限り、今いる所が雲から抜け、良い景色が見れるとは思えなかったからです。

疲れているとはいえ、さっさと他の登山客らと雑魚寝するのもつまらないので、
りょうサンと暫しバイク談義。
途中でやってきたツアー客のおねぇちゃんとナンパ気味に話したりしながらプチオフ会。
富士登山オフ会か。
なんつーか最強だな。
流石に少し休まないと、夜明けの登頂と下山で死ヌので少しだけ眠る。



「サトゥー様、ご来光の時間となりましたが。」
山小屋のスタッフが、お願いしておいた時間に起こしに来る。
まだみんな半寝だったので、景色が見れる状態か、確認しに外へでてみる。







マジカ。

慌てて全員を起こしにかかる。
りょうサンとサトゥーさんは起きたが、ケイゴさんは起きてくれなかった。

残念と言うか、まあ、どっちでもいいのですが、日の出は雲に隠れ見る事ができませんでした。
ですが、一番見たかったのはこの雲海だったので、コレで目標達成です。
因みにこの写真だけは、TOP用にフォトショでコントラストだけ高くしてありますのであしからず。

暫し富士山から見える雲海をお楽しみにください。

   

   


とりあえず来たぞ、という証拠に写真を撮っておく。
登山の為に煙草を1週間程控えてましたが、8合目からりょうサンにつられて吸ってました。
最高の寝起きの一服っス。

宿泊してた皆が、小屋の中に戻ってしまっても、飽きずにずーっと景色みてました。
いや、ホント飽きないわコレ。

1時間ほど景色眺めてましたがもう少し眠っておいた方がいいと思い2度寝。
夜明けと共に殆どの登山客が出発してしまったので、雑魚寝スペースを広々と使う。


寝床からも雲海がみえたり。

8時。
荷物を纏め、山頂めざし再出発。
結局トータルで2時間くらいしか眠っていないかも。
寝起き20分無しで富士山を登り始めたため、全員少し死にかける。


富士山は6合目あたりからはまさに砂礫の大地。
観光地とはいえ、遭難者や転落死がザラに起こるサバイバル地帯ですので、
僕たちのように富士登山をなめてかからないように。


また、土が流れ出した溝がたくさんあるので、引っかからないように注意してください。
嵌りました。


日本一雄大な立ション。


空が斜めに見えます。
・・・一応言いますが、カメラを山の斜面に合わせて撮っただけですよ。


山の斜面に沿って次々と雲が滑り落ちていきました。
落ちた雲は斜面を離れて、スーッと向こうの空へと飛んでいく。
富士山で見れる景色の全てがスケール違いです。


痩せすぎ!!
って話じゃなくて、山頂到着です。
注目するのは痩せた奴じゃなくて石柱の文字です。


我々の登った9月3日は、既に富士山は閉山しており、山頂には何もありませんでした。
遠くに見える丘から火口が望めるのですが、私が見に行った時は、雲がかかってしまい見る事が出来ませんでした。
・・・私以外はみんな見れたらしい・・・

余談ですが、結局、高山病にはなりませんでした。
八合目からしんどくなる人が多いそうですが、私は別に、といった感じで。
たしかに息が上がるのは早かった気がしますけど。
9合目からは少しだけ立ちくらみのような眩暈は時々しました。
でもそれが高山病なのか、ただの運動不足か、空腹か、煙草か、何が原因かは不明。
普段の酸素摂取量が少ない人は高山病になりにくいらしいです。

残念ながら、山頂に着く少し前から曇り始め、山頂からの景色は見れませんでした。
まあ、登ってる最中に景色はたくさんみれたので十分です。
火口は見たかったけどね。

 
下山道。
下山道は広くとった道に、砂利が敷かれており、いい感じにショックを吸収してくれるような道でした。
場所によっては砂利が流れてしまい、固い道もありますが。
僕たちは間違えてこの道を八合目までのぼっていました。
帰りの6合目からは、今度は登山道を逆走してました。


私の行く手に不気味な影が・・・

霧がかかると、10メートル先の人影さえも見えなくなります。


6合目までおりるとやっと緑の景色が戻る。
下りは2時間半ほどで駆け下りました。

ゾンビのような足取りで5合目の駐車場へ戻り、水分補給と食事。
天気は雨。しばらく様子を見て、小雨になった時点で荷物を纏める。


りょうサンのスポーツスター。
現在は問題を抱える。
芯をブチ抜いたノーマルマフラーは評判どおりの重低音。いいかも。


16時頃でしょうか。
バイク組みの私、りょうサン、ケイゴさんで写真。
このあと、ケイゴさんたちは神奈川へ。
私は名古屋に帰還。
名古屋から富士山まで往復500キロは超えたな。
本当にお疲れ様でした。



帰りは東名を御殿場から名古屋まで走る。
だが清水から浜名湖まで雨に降られたり、由比の海岸沿いでは高速で高波注意報が出てたり、
豊川−音羽郡間が通行止めで混雑した迂回路を走らされたりしながら23時に帰宅。
バイクじゃ高速で走れない程雨に降られ、本気で怖かった。
りょうサンたちもおなじような状態だったそうで。

重ね重ね、おつかれさまでしたーっ。


◆良い子のみなさんへ◆
富士登山は辛くしんどい道のりですが、
それ以上の価値を感じる景色を見る事ができます。
身長175センチ、体重52キロ、高校時代から約6年間、
マトモな運動をしていないヒョロ男でも面白おかしく達成できました。
ですが観光地とはいえ、私達のように軽装備で挑むのは若干危険です。
事前に山の天気、環境を調べ、関連サイトをよく見ておく事をオススメします。
わざわざ言う事じゃないですけど、一応。


◆おまけ◆
私が3日11時に朝食を取ってから口にしたもの。

3日 13時
ペットボトルジュース

3日 20時〜翌日1時までの間 (登山中)
ウイダーインゼリー1つ、カロリーメイト1箱、おにぎり1つ、ペットボトルジュース

4日 起床から下山まで
ウイダーインゼリー1つ ジュースの残り

こうしてトップのような身体がつくられるのです。

→HOME